フィッティング処方式 DSL m[i/o]について

補聴器は、難聴者に対応する機械です。しかし、難聴と一言で言っても、様々な症状があります。高い音が聞きづらい人もいれば、低い音が聞きづらい人もいます。また、会議の会話だけ聞き取れない人もいれば、大声でも聞き取れない人もいます。このように一人ひとりの聞こえの違いに対応するために、補聴器には調整作業、つまりフィッティングが必要になります。

フィッティングの重要な行程の一つが、補聴器の利得の調整です。非常に重要でありながら、専門的な知識や経験を要する困難な作業です。

そこで、フィッティングの研究チームによって、装用者の聴力データや年齢などの情報を元に、聞こえの改善にふさわしい利得設定を計算する「フィッティング処方式」という計算式が開発されています。

フィッティング処方式についての詳細は、「フィッティング処方式」を読んでみてください。

フィッティング処方式は、研究機関や補聴器メーカーによって開発されていますが、世界的に有名な処方式は”DSL m[i/o]”と”NAL-NL2”の2種類です。

この記事では、DSL m[i/o]について解説します。

”NAL-NL2”に関しては、「フィッティング処方式 NAL-NL2について」を読んでみてください。

DSL m[i/o]とは?

DSL m[i/o]はカナダの西オンタリオ大学が主体のチームによって開発されたフィッティング処方式です。

そのチームでは、DSL系のフィッティング処方式が開発され、DSL m[i/o]は現在の最新版のフィッティング処方式です。

“DSL”とは、“Desired Sensation Level”の略称で、開発当初の目的が「装用者にとって感覚的に望ましいレベルに調整された利得」を算出するためであったためです。

 

DSL m[i/o]の特長

DSL系のフィッティング処方式の最大の特長は、「乳幼児に適した」処方式であることです。

個人的な意見では、先天性難聴である乳幼児に対して補聴器をフィッティングする場合にはDSL m[i/o]を使用しておけば問題ないと思っています。

 

DSL m[i/o]の利得設定

DSL m[i/o]では、主に次の2点を満たすように利得設定が考えられています。

  1. 不快閾値を越えない
  2. 重要な音声情報を快適に聞こえるようにする

要するに、不快でないぐらいに音声情報が聞こえるように利得を与えるという考えです。

DSL m[i/o]でフィッティングした方は分かるかもしれませんが、DSLは比較的大きな利得になります。それは、うるさすぎないぐらいで音声情報をできるだけ聞かせることが目的だと思います。

 

乳幼児への対応

フィッティング処方式の多くは、成人を対象としています。乳幼児を対象としているということは、乳幼児と成人の違いを考慮しているということです。

そして、乳幼児と成人の最大の違いは、体の大きさ、つまり耳の大きさです。

耳の形状は、音の聞こえに大きく影響します。そこで、DSLの開発チームは、実耳特性を考慮して、鼓膜面音圧レベルが、推奨利得を満たすような考え方をしています。

 

大人に対応した改良

DSL系のフィッティング処方式は、開発当初は乳幼児を対象としていました。

しかし、DSLm[i/o]では大人にも対応可能な設計になっています。

これまでのDSLでフィッティングした補聴器を大人に装用した時に、大人の場合はより小さい音が好まれるという実験結果が反映されています。

 

参考ページ

DSLのHP:https://www.dslio.com/

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