「ファンクショナルゲインと実耳挿入利得は,線形増幅の補聴器では理論的に一致する。」を考える。

日本聴覚医学会のホームページで、ファンクショナルゲインを調べると、注釈欄に「ファンクショナルゲインと実耳挿入利得は,線形増幅の補聴器では理論的に一致する。」という表記があります。

これは一体どういうことなのかを考えてみます。

 

まず、補聴器なしの1kHzの音場閾値が50dB HLだったとします。

これを補聴器適合検査の指針(2010)を満たすように、補聴器装用時の音場閾値が35dB HLになったと仮定します。

 

この時のファンクショナルゲインは、

ファンクショナルゲイン           = 補聴器なしの音場閾値 – 補聴器ありの音場閾値

= 50 – 35

= 15

となり、15dBになります。

 

この状況を具体的に考えます。

補聴器なしでは、50dBHLの音が聞こえました。

補聴器をつけると、35dBHLの入力音が50dBHLの大きさで聞こえたいうことです。

つまり、実耳挿入利得は、

実耳挿入利得            = 補聴器ありのレベル – 補聴器なしのレベル

= 50 – 35

= 15

となり、15dBになります。

 

こう考えると、ファンクショナルゲインと実耳挿入利得が同じなのは、一目瞭然です。

ただし、35dBHLの入力音に対して15dBの実耳挿入利得であったということが重要です。

 

圧縮機能のある非線形型補聴器では、入力音のレベルによって実耳挿入利得が異なります。

しかし、圧縮機能がかかっていない線形増幅の補聴器では、実耳挿入利得が入力音のレベルに依らず一定にです。

 

以上より、

線形増幅の補聴器では、ファンクショナルゲインと実耳挿入利得が理論的に一致します。

 

また、次のことも成立します。

非線形増幅の補聴器でも、補聴器装用時の音場閾値と一致した入力音に対する実耳挿入利得は、ファンクショナルゲインと理論的に一致します。

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